海運による材木問屋や、みそ・醤油の醸造業を営んでいた間瀬家の屋敷。二代作右衛門が明治15年（1882
年）頃に建てたことから、「作右衛門屋敷（さくえもんやしき）」と呼ばれています。昭和7年（1932年）に立て替え
た奥座敷は本格的な数寄屋造り。亀崎の伝統的な名工、通称「大信」梶川信四郎によって建てられました。
奥座敷には、永平寺68世 秦 慧昭禅師一行が訪れており、改修の際は、祝いの掛け軸も賜っています。

屋敷と同じく、国の登録有形文化財に指定されている土蔵は、亀崎中切の間瀬家にあったものを、
屋敷を建てる際に移築していることから、元々は江戸時代に建築された蔵です。
当時は今よりも敷地面積が広く、現在残されている建物や蔵の他にも、周囲に蔵が立ち並んでいたことからも、
間瀬家の営んでいた事業規模の大きさが分かります。

亀崎の地名の由来でもある神前神社（かみさきじんじゃ）。日本の初代天皇とされる神武天皇がこの地へ降り
立った際、船で桟橋をつくり出迎えたという言い伝えが起源となっています。

神前神社は「子どもの神様を祀る神社」であることから、お宮参り、虫封（毎年6月）、七五三など、
子どものハレの日を祝う場所として多くの参拝客が訪れます。
また、亀崎が月の名所として有名であることに由来し神社外苑にある観月亭跡地で行われる「観月会（毎年9月）」や、寒中みそぎを行う「御潮祭（みしおさい）（毎年1月）」など、季節に応じた祭典が一年を通して行われています。


神前神社の大鳥居は、三代作右衛門が大正天皇即位記念として寄贈しており、
今でも裏側に彫られた名前を確認することができます。

亀崎潮干祭は、1000年もの昔、海部族がこの地に住み着いたことに由来する歴史ある祭り。
漁師や廻船など、海を生活の基盤としていた者たちが創り出した知多型の巨大な山車が海へ向かい、
潮干の浜へ曳き下ろされる天下の奇祭として、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

5輌の山車のうち、最も建造が古い「中切組力神車」は、諏訪の名工「立川和四郎冨昌」が手掛けた
素木彫りの精緻な彫刻で装飾されており、それまでの金箔・極彩色の山車とは異なる知多型山車の元祖として、
知多地域に広く影響を与えました。

現在は、毎年5月3日・4日に開催。壮観な5輌の山車、贅を尽くした装飾、からくり人形の奉納など、
知多随一の祭文化を今なお現代に伝えています。